小殿筋トリガーポイントは2か所に形成され、坐骨神経痛に治療効果を発揮します。
この場合の坐骨神経痛とは、
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などの、
物理的な坐骨神経の圧迫により、
腰殿部に強い疼痛と、下肢の坐骨神経の走行に沿ったラインの痛みとシビレを主訴とする、
真性の坐骨神経痛のことではなく(そうであっても症状改善への治療効果はあると思いますが)、
小殿筋トリガーポイントの活性化による、下肢の疼痛やシビレなどの症状を起こす、
バスケットネーム的な坐骨神経痛のことです。
小殿筋トリガーポイントの活性化での下肢の症状は、坐骨神経ライン(一本の線上)の痛みではなく、
下肢の後側や外側に、面的に症状があらわれてきます。(症状が強い場合には線一本に感じることもある)
症状の出現部位から、小殿筋の2つのトリガーポイントの活用が見えてきます。
小殿筋第1トリガーポイント
第1トリガーポイントは、腸骨稜と大転子の間に形成され、下肢の外側に痛みやシビレなどの症状を引き起こします。
中殿筋の下層に付着しているため、安定持続圧で圧を浸透させて効かせていきますが、
一番の硬結圧痛反応や、指圧によって下肢外側に響く、または症状が和らぐポイントを見つけることが大切です。
好発エリア内で、
腸骨稜寄りや、大転子寄り、やや前側、やや後側と注意深く圧を沈めていくと、
「そこです!」というポイントが出現します。
もちろん、
診断即治療という指圧の原則がありますから、トリガーポイントを探るような手つきではいけません。
狭い範囲ですから、根気よく一圧ずつ、的確に垂直圧を入れていきます。
軽い揉捏などによって、筋硬結の感触を確かめながら、緩める技法でも良いと思います。
下肢のシ外側にあらわれる痛みやシビレの症状は、臨床上多いですから、
深層部に形成される、小殿筋第1トリガーポイントの指圧法はマスターしたいところです。
小殿筋第2トリガーポイント
第2トリガーポイントは、第1トリガーポイントのやや内側に形成され、
下肢の後側に痛みやシビレなどの症状を引き起こします。
真性の坐骨神経痛と間違いやすい症状ですが、
SLRやその他の臨床検査などを行い鑑別すると良いと思います。
トリガーポイントの特徴というのは、筋硬結が短縮すると痛みを出すというのが基本的理論ですが、
伸長させる刺激に対しても反応を起こし、関連痛を起こすこともあるため、症状の鑑別が困難なケースもあります。
指圧法は、
小殿筋の筋肉の走行や、股関節に対する働きを考えると、
側臥位での施術の方が、トリガーポイントに対して垂直に圧が入り、響く圧となりやすいと言えます。
(もちろん伏臥位でも、小殿筋にアプローチが出来るようなスキルを身につけることは大切です)
中殿筋の下層に付着している小殿筋ですが、
第2トリガーポイントは、形成部位によっては大殿筋にも覆われている部位に形成されることもあるため、
大殿筋 ➡ 中殿筋 ➡ 小殿筋へと、
三つの層を圧がブレずに、浸透するような安定持続圧が必要となります。
側臥位で行うと、
大殿筋が正中寄りへと少し移動してくれるような印象があります(イメージですが)。
実際、筋繊維の走行を考えると、側臥位になると大殿筋の存在感は薄れ、中殿筋と小殿筋へのアプローチは行いやすくなります。
これは、感覚的な問題ですが、施術者も受療者も、経験を積むと実感することが出来ます。
垂直の角度ですが、
殿部の形状に合わせて、的確に狙います。
殿部はおおまかに、
標準タイプのハート型と、坐骨の開いた台形型に大別して見ていくと、わかりやすいと思います。
このトリガーポイントへの指圧も、
症状部位に響きが起こる、または痛みやシビレが軽減する反応が起こる治療ポイントに対して、
安定持続圧で効かせていくと良いと思います。
まとめ
下肢の痛みやシビレの症状の原因となる、小殿筋トリガーポイントは、
殿筋の深層部にあるため、的確な垂直圧による安定持続圧のスキルが重要視されます。
「この小殿筋エリアにトリガーポイントがある!」とわかっていても、
響きや関連痛を起こす指圧法でないと、トリガーポイントを活かすことが出来ません。
主に肘圧での指圧法となりますが、
丹田から重心移動を行い、深層部まで圧を浸透させ、圧をピタッと安定させる指圧法をマスター出来ると良いと思います。
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